第42章 諸刃の刃の切っ先で
バルトなアジトに案内され、見知った3人から自己紹介を受けた私は、自らの具体的な使命を自覚した。
すなわち、食事、である。
「なにか食べましょう!」
「その……すみません公子さん、材料がほとんどないんですよ。こんなところにデリバリーは頼めないし……」
エドァルドが申し訳なさそうに言う。
聞くところによると、冷凍食品やインスタント類といった食糧が、あらかた尽きてしまったらしい。
普通に料理する材料もあんまりないという。
というか、三国揃って目の下のクマが黒い。
完全に働きすぎな状態だ。
こんな状態で料理なんて無理だろう。
デリバリーは……確かに呼べないな……。
「キッチン見てもいいですか?」
「もちろんです。あ、僕たちのことは気にしないでくださいね!」
エドにキラキラした笑顔で言われるが、そうはいかない。
早速キッチンに向かうと、いかにも北欧といった趣の、綺麗でスペースの広い空間が現れた。
アジトにこの規模のキッチンを設けられることもすごいが、
「……ほんとにない……」
棚、引き出し、冷蔵庫などに、本当にろくなものがない。
かろうじて冷凍の野菜、果物があるくらいで、あとはなけなしの調味料があるだけだった。
と、棚の奥の方を探っていくと、思いもよらないものを見つける。
「な……なぜこんなものが!?」