第28章 on the planned system
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「あーっ! なにしてるんですか!」
リビングに入ってきたロヴィーノを見て、そんな声が上がってしまう。
「う、うっせーぞコノヤロー……」
いかんせん威勢に欠けたロヴィーノ。
サッと後ろに隠したが、その右手から伝う赤には既視感を覚えた。
案の定、指をガラスで切ってしまったようだ。
親分の処置を終えたと思ったら、今度は子分である。
「あ、あかん、ロヴィ、早う血止めな!!」
まるでロヴィーノが今にも死にそうなように、切迫した顔でアントーニョが慌てだした。
彼を諌めながら、ロヴィーノにも処置を施していく。
指を包帯でくるんだ二人を見ていると、なんだか頬が緩んでしまいそうだ。
「元はといえばお前のせいだろアントーニョ!」
「えー!? ご、ごめんな……」
「いいから寝てろっつーの!」
「起こしたのロヴィやん!」
「お二人とも落ち着いて!」
やんややんや騒がしくなるリビング。
ロヴィーノがアントーニョの背中を寝室の方に押していると、
――ガタッ
扉の向こうで、軽い落下音が鳴った。