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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第26章 電波塔クラスレート


西の空が一瞬光った。

数秒して落雷音が轟く。

どうにも足が気持ち悪い。

早歩きだったせいか、靴下に滲んでしまったようだ。

ギルは大丈夫なのだろうか。

というか着替えなんてないし――

「……そうだな」

ギルが、私に顔を向ける。

彼は穏やかに微笑んでいた。

瞳には優しく、あたたかな明かりを灯している。

けれど少しだけ、ほんの少しだけ――なんだか泣きそうだった。

「公子が頑張ってるんだもんな」

「?」

ギルがニカッと笑う。

いつものような、底知れぬ自信に満ちた笑顔。

それは鈍色の雨空に似合っていなくて、なんとなくどんよりしていた気分がパッと晴れていった。

「行くぞ」

「もういいんですか?」

「あぁ、用は済んだ」

「眺めてただけじゃないですか」

「ケセセセ! 凡人にはそう見えるんだよ!」

ギルの中二病節が炸裂する前に、私はここへ来たギルのようにさっさと歩き出した。
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