第24章 下位互換カソード
いや、待てよ。
私は悪友たちと“消失点”でテレポート(この言い方が正しいか否かはひとまず置いておく)したのだ。
『ダメもとで発信器を置いといて移動先を調べようとしたが、あるとき忽然と電磁波がとだえた』
アーサーはそう言っていた。
菊の最新高性能痛発信器は、“再帰点”で電波を発信し、場所を知らせることはなかった。
沈黙。
発信器は“消失点”で文字通り消失したのだ。
消失したのが発信器という物質なのか、電波なのか、それはわからない。
ならば、私に付けられた“GLONASS”もそうなのでは? それともロシア製は違うの? なにそれ怖すぎる。
しかも、私は世界移動――トリップして、元の世界に戻ってきたのだ。
この移動でも、発信器は電波を発信し続けるのか? どこへ? 時空を越えるの? ロシア製ってそうなの? なにそれおぞましい。
「あの、発信器っていっても――」
「よしっ、行くぞ!」
「は……はい!?」
急に立ち上がり、拳を握って宣言したギル。
突拍子もないその行動に困惑していると、ギルがニィっと犬歯をみせた。
しかも、あろうことか、いたずらを思いついた子どものような目をしている。
なんだか、とても嫌な予感が――
「図書館にだ!」