第2章 邂逅と眩暈と
いや、この言い方は適切ではない。
今の今まで、縁ギリギリに保たれていたものが、とうとう表出したような。
不確かな推測――嫌な予感が、決定的に目の前に明らかになったような。
「……っ」
上半身に、寒気に似た心許なさを覚えた。
無意識に自分の身を抱きしめる。
と同時に、胸元の開いた隙間に、目線が落ちた。
「それに今だって、公子ちゃんは薄皮一枚の丸腰ネ~」
……………………え?
私を含め、湾ちゃん以外誰も瞬時に理解できなかった。
自分以外の人間が目をぱちくりさせて、なにかを言おうとして、なにも言えていない光景。
それが不思議なのだろうか。
湾ちゃんはキョトンとしていた。
何か取り返しのつかないことが、起きようとしているのを感じる。
脳内で、サイレンがウーウーとけたたましく鳴っている。
だが湾ちゃんの表情は、壮大な勘違いをしていた。
待ってくれ。いや待て待つんだ。
そんな私の声なき悲鳴などお構いなしに、彼女の口から死刑判決が下る。
「公子ちゃんは今、下着一枚つけてないネー☆」