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短編集「俺はもともと結構しゃべる」

第1章 進撃の巨人 エルド・ジン 「金髪のあなた」


そんな私が一目惚れをするなんて 想像もしていなかった。
「一生独身で、一人でこのお店を守っていくんだろうな」と、そう思っていた。
しかし、私はあなたが好きになった。

もっともっとあなたを知りたい。
話をしたい。という欲求はどんどん膨らんでいった。
来店予定の日を指折り数えて待った。

そして、その日がやってきた。

お店には花を飾った。
普段はつけないコロンもつけた。

少しでも私を「女」として意識して貰いたかった。


カランコロン
ドアが開き 自由の翼の紋章を付けたあなたが入ってきた。
「いらっしゃいませ」
満面の笑みであなたを出迎える。

あの調査兵団だったのか・・・
正直驚いた。
税金泥棒と揶揄されているのは私も聞いたことがある。
死にたいだけのバカの集まりだと。
聡明そうなあなたが行きそうな場所だとは思わなかった。

でも、調査兵団のイメージなんてどうでもいい。
ただ、あなたのことがもっと知りたい。

「この前のはたき、贈り物用に包んでもらますか?」
彼の声に我に返った。
また見入ってしまっていたのだ。

気づかれてはいないだろうか。
カーッと赤くなる頬を隠すように 裏にはたきを取りに行く。
頬を両手でパシッと叩き 心を落ち着かせる。
包装用紙をとろうとして ふと気が付いた。

このはたきは贈り物用。
いったいあなたは誰に贈るのだろう?
今更ながら、疑問がわき起こった。
初めてきた時も贈り物を探しているというのには気が付いていたのに、舞い上がりすぎてすっかり忘れてしまっていた。


はたきと言うことは、普通に考えて女性に贈るのではないだろうか。
高価なものでもあるし 母親、もしくは恋人。
もしかしたら奥さんがいるのかもしれない。
なんでもっと早く気が付かなかったのだろう。
こんなに好きになる前に気づけばよかった。

涙目になるのをこらえながらカウンターに戻り、ラッピングを始める。
既にあなたはカウンターではなくほかの商品を眺めていた。

女の子に人気のビーズのアクセサリーコーナー。
実は私が店番の合間に作っていて、密かな人気商品となっている。
どれも手作り一点物なので、彼氏から彼女への贈り物として購入されることもとても多い物だった。
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