第11章 光
「そういう貴方達は、何も貴方達に危害を加えていない者を理由もなく斬るおつもりなのですか?」
「なんだと? そいつは新選組の仲間だ! どうせこの店に運び込まれてきた、武器と弾薬を押収するためにやってきたのだろう!?」
「……なんですって?」
「お、おいお前! 何をぺらぺらと喋っている!」
突然店主が慌て始める。途端、店内に浅葱色の羽織を着た男が飛び込んでくる。その者は、志摩子を守るように躍り出る。
「あんたも運がない」
「一様……っ!?」
「いや、それは俺もだろうな」
彼が飛び来んで来たことにより、次々と隊士達が店内へと飛び込む。あっという間に男達は取り押さえられた。
後で知ったのは、この店は数日前から不穏な動きを見せており、その調査のために山崎が探りに来ていたらしい。だが幸か不幸か、千鶴が飛び込んできたことにより事態は急展開を見せた。
昼間の騒動が嘘のように、夜はとても静かだった。屯所に戻った志摩子は、どうしても眠れず書庫で一人本を読んでいた。淡い蝋燭の灯りだけが、志摩子の手元を照らし出す。今のままでは駄目だと、心の中でそんな思いばかりが過っていた。
戦えない自分、ほんの小さなことしか出来ない自分。
志摩子は何処か、焦っているように見えた。
すると、小さく戸を叩く音が聞こえて来た。