第6章 一生のお願い
翔はずっと怒ったような、困ったような顔をしてる。
そして。
翔 「・・・・・・二度はないからな。」
と小さく言って、唇と唇が触れた。
ほんの一瞬。
ほんの刹那。
離れた唇から言葉が零れる。
翔 「―――指輪も、結婚式も、もう絶対ひかりの要望聞き入れないからなっ!一生のお願い、おまえ今使ったからな!(苦笑)」
ああ。
まだこの頃の私たちの頭上には、そんなキラキラした夢のカケラが光ってたんだ。
なんて幼い私たち。
なんて愛おしい二人。
翔 「・・・・・・やっぱ、今日のおまえ、変。」
私の顔を、訝しそうに覗き込む。
翔 「帰ろう、もう。」
立ち上がり、私の手を引っ張る。
翔 「なんか、今すっげ、ひかりのこと抱きたい(苦笑)」
うん。
私も。
だから神様。
こんな事態を引き起こしてくれた神様。
もうあとちょっとだけ時間ちょうだい。