第5章 03
「こういうの、良くないんじゃないですか」
「天使が他校の人間からのやりとりに困っているから、助けたいんだ」
「…私と、喋ったことありましたっけ?」
「いつもテレパシーで話していたよ。天使なんだから」
本当に頭の湧いているやつも初めてだ。中学になると本当にいろんな人がいるなと冷静な自分をなんとか維持させる
ビデオカメラさえなければ股間蹴って逃げ出すんだが、どうしようと考えていた
「それに僕の手紙だけその場で読んでくれていたし、持ち歩いてくれてただろう?」
それはただの焼却炉に持っていくだけだし、その場で読んだのは中身がポエムだったからだと言い返してやりたいがスマホで動画を撮られてるかもしれない
にじり寄る彼にどうしようかと考える、このまま下がり続けても壁しかないし、武器になるようなものはない
「天使、大丈夫。僕は君の味方だよ」
緊張と焦りからだんだん呼吸が浅くなってきて酸素が脳に回らなくなりながら、人の名前も知らないのかとイライラが頂点に達する
どうしようと困っていたところで扉からコンコンコンと音がした
「さん、いる?」
声で分かった、花宮だと
「花宮先輩!助けて!」
「…助けて?」
「お願いです!助けてくださっ、ぐ」
怒っているのか真っ赤な顔をした男の大きな手で口を塞がれる。勢いが強かったのでそのまま体勢を崩し後頭部に衝撃が走った
じーんと鈍い痛みと、脳震盪を起こしているのか視界が回る
ドアも鍵が閉められているしもう無理かと諦めそうなところで、鍵なんてかかっていなかったかのようにドアが開いた