第6章 人のものってなんだか魅力的
沖田「さくら!?」
土方「テメェは…」
ハッと気づくと総悟と土方さんは私をガン見。
周りにいた住民達は、なんだなんだと野次馬騒ぎ。
『〜っ!』
どうしようどうしようどうしよう…!
喧嘩を止めるつもりがもっと大それたことに…
その時、私の隣で銀さんが手を叩いた。
銀時「ハイハイ皆さんちゅうもーく。このように、かぶき町の平和を護るのは警察だけではありませーん。平和を守るのはあなたです!ということで真選組、夏の防犯強化月間のための寸劇でしたー」
銀さんの嘘八百な台詞に騙された観客たちは残念そうにその場から去っていった。
『あ、ありがと銀さん…』
まさかの助け舟にお礼をしながら勝手に抜き取っていた木刀を返す。
銀時「おー。土方君、一つ借りな」
土方「チッ…」
ニヤリと笑う銀さんに土方さんが舌打ちをする。
そしてそのまま瞳孔の開ききった瞳を私へと移した。
土方「テメーはこないだの…」
覚えててくれたんだ!
『あ、はい!先日はありがとうございました!無事に万事屋で働けることになりました…本当に助かりました』
深く深く頭を下げる。
今、私の顔は自分でもわかるほど真っ赤だろう。
この顔を見られたら完璧に色々とバレる。
土方「いや、俺もさっきは悪かった。俺は土方十四郎だ。お前、名前は?」
『えっ!あ…小鳥遊…』
沖田「小鳥遊さくらでさァ」
『!』
やっと土方さんとまともに話せたと思った矢先、むくれた総悟が私の台詞を遮った。
土方「俺はこの女に聞いてるんだが?」
沖田「いいじゃねェですか。土方さんは名前が知りたかっただけなんですから、誰から聞こうが変わりゃしませんよ」
土方「…」
オイオイどういう事ですかこれは。
なぜまたもや嫌悪ムード?
もうめんどくさいからやめてください。
その時
土方「さくら」
『へっ!?』
私の名前を呼んだ土方さんがゆっくりとこちらへ近づいてくる。
土方「おめェ、万事屋で働くって言ったな」
『はい』
そのまま私の頬に手を添えて言った。
土方「万事屋やめて真選組に来ねぇか?」