過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第13章 重すぎる愛の告白
「先日、君は私の感情を勘違いと言ったね。
恋愛感情ではないと・・・・」
「・・・・・・・・・」
「あれから私はその感情について考え直したんだが・・・
やはり君に向けている感情は恋愛感情だという結論に至ったよ。
君の方が誤解していたんだ」
エルヴィンの言葉に反論しようと口を開きかけたが、
その前に彼の大きな手で塞がれてしまった。
続きを言わせて欲しいと眉尻を下げて言われては黙るしか無く、
エルヴィンの目を見つめた。
「誤解・・・という言葉は妥当じゃないかもしれない。
実際私が君へ向ける愛情は普通ではないからね。
・・・愛情なんて生温い表現をしたくない程に
君を愛しているよ、ナナシ」
エルヴィンの表情はどこまでも穏やかで優しげなのに、
ナナシの背筋にぞわりと鳥肌が立った。
「私は君の毅然とした態度が大好きだよ。
とても綺麗だと思う。・・・・・でもね・・・そんな姿を
見せつけられると汚したくなってしまうんだ。
昔と変わらない姿で昔と同じ人を想い続ける君が
堪らなく愛しくて・・・許せなくなる。
いっそ、このままどこかへ閉じ込めて
私しか見えないようにしてしまいたいと思ってしまったよ。
この感情が決して綺麗なものじゃないとわかっていても、
どうしても君が欲しい。・・・だから・・・」
息遣いがわかる程の距離までグッと顔を寄せながら、
彼は目を細めて宣言した。
「大人しく私のものになりなさい、ナナシ。
壁外調査から戻ったら君を迎えに来るよ。
例え君がどこへ逃げても絶対見つけてみせる。
君に忘れられない想い人がいたとしても構わない。
私が忘れさせてあげるからね」
「―――――――――っ!!!!」
エルヴィンの狂気がこれ程酷いとは思わなかったナナシは、
思わぬ告白にパニクった。
冗談じゃない!こんな狂った男は願い下げだ!
どうせならもっとノーマルな男の方が良いに決まっている!
・・・いや、今は自分も男だから男が欲しい訳じゃないけどもっ!!
声にならない声を上げながら、ナナシは逃げ出した。
だが、後ろから立体機動装置をつけたエルヴィンが追ってくる。