過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第67章 分かり合いたい
リヴァイには遺体の破壊を頼んだが、
実際ナナシが死ねば遺体は自動的に砂のように
崩れる仕組みになっている。
だが、万が一にもその機能が発動しなかった場合に備えて
保険を掛けておきたかった。
誰かにこの身体を暴かれるのは我慢ならない。
それが憲兵や王政府であるなら尚更だった。
リヴァイが身体を破壊してくれなくても
仕方無いと思っているのは本当だが、
見る目が無かったとは思わない。
ただの発破だ。
リヴァイにはリヴァイの立場と事情があるのはわかっている。
ガチャガチャと立体機動装置の点検をしていると、
リヴァイがナナシと目線を合わせるようにスッと膝を折って
ナナシの手を握った。
突然のリヴァイの行動に驚き視線を向けると、
彼は真剣な表情でナナシを見つめていた。
「約束しよう。おまえが死んだら遺体を処分する。
俺は最期くらいおまえの望みを叶えてやりたい。
エルヴィンが何と言おうと、だ」
ナナシは真摯なリヴァイの言葉に息を呑んだ。
まさかここまで真剣に誓って貰えるとは思わず、
リヴァイを凝視する。
前々から仲間思いで優しい男だとは思っていたが、
一見取っ付きにくく見えるリヴァイが何故部下達に慕われているのか
改めて理解出来た。
エルヴィンとは違った魅力が彼には備わっている。