過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第63章 気遣いと下心
ナナシは確かに食いしん坊ではあるが、
いつもこんなにガツガツと食べないし
量も他の兵士と同じくらいしか食べない。
それなのに、リヴァイが気を利かせて持って来た
貢がれた分の食事もあっという間に平らげていってしまった。
まるで不足している何かを補おうとしているような・・・・。
「ナナシ・・・そんなにお腹が空いていたのかい?」
エルヴィンはそう尋ねると、ナナシは少し気恥ずかしそうに答えた。
「怪我とかすると身体の回復にかなりのエネルギーが必要になって
腹が減るのだ。その分治りも早いが普通の量だと到底足りぬし、
・・・喉も渇く」
喉も渇くという言葉にエルヴィンは「もしかして・・・」と思った。
血液の摂取も随分行っていない。
週に一度欲しいと言っていたにも関わらず、
二週間以上前にエルヴィンの血を飲んだっきりだった。
「・・・血を飲みたいという事か?」
その問いにコクリと頷いたナナシは、
「多分、それも一人分じゃ足りないくらい飢えている」と
付け加えた。