過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第38章 エッカルト・アーデルハイトの日記2
エッカルト・アーデルハイトの日記2
☆月○日
俺が一人前に巨人を討伐出来るようになって暫く経った頃、
組織全体に激震が走った。
何とあの団長に愛人が出来たらしい!!
(そもそも副長と団長は結婚してないが、
相手女性を恋人とは認めたくないので『愛人』と呼ぶことにする)
副長を溺愛し、副長に手を出そうとしている輩を正々堂々と
ボコっていたあの団長にっ!!
信じられないが、何人かがその愛人と一緒にいる団長を
目撃しているらしい。
組織内はその話題で持ちきりだ。
その噂を聞いてしまった副長が心配でならない。
☆月△日
眉唾ものの噂が真実味を帯びてきてしまった。
団長の愛人は相当の美人らしい。
亜麻色の髪で大人っぽい色気を持つ
気立ての良い裕福な商人の娘だという事だ。
副長はいつもと変わらない。
何も聞いてない風を装っている姿が
痛々しく見えてしまうのは俺の感傷のせいだろうか?
☆月☓日
またも信じられない事実を知った!!
団長はその愛人との間に子供を作っていたらしい!!
今まで「ただの気の迷い」
「ちょっとした浮気だから事を荒立てないでおこう」としていた皆が
一斉に団長に詰め寄った。
遠目に見ていた俺にもわかるくらいに団長は機嫌が悪かった。
壁外遠征以外ではいつも柔らかな表情をしているのに、
今は巨人を前にしても見せた事のない凶悪な面構えをしていたのだ。
・・・正直チビリそうなくらい恐い。
数人の兵士が「副長がいながら、どういうおつもりですか!?」と
詰め寄ったら、更に機嫌が悪くなったようだ。
ぶっちゃけ巨人より恐い。
でも、部下を無碍に出来なかったのか一言だけ言った。
「そのご本人が望んだんですよ」って。
副長が望んだだって?
俺達が絶句している間に団長は行ってしまった。