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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第31章 本来の目的








「彼を出し抜いて、我々がその『心臓』を手に入れる必要がある。
『心臓』さえ手に入れば、彼を調査兵団に留めおく事が出来るはずだ。
半年だなんて冗談じゃない。
有能な人材は活用されてこそ真価が発揮されるんだ。
遙か昔に死んだ人間にそれを邪魔されるのは不愉快極まりない」


吐き捨てられた言葉は恐らくエルヴィンの本音だ。
彼はナナシの想い人の話になると明らかに不機嫌になる。

いつもポーカーフェイスを崩さないエルヴィン・スミスにとっては
珍しい事だった。

最初の頃は「まだエルヴィンにも人としての心があった」と喜んでいたが、
最近ではその歪み具合の激しさにハンジ達は心配になっていた。


化け物を凌ぐ為には何かを犠牲にすべきだとは思うが、
エルヴィンにとってナナシという存在は
一体何に分類されているのかと不思議に思うことがある。



化け物?
愛する者?
利用価値のある人間?



それを問うた所で本当の答えが返ってこない事はわかっているので、
誰も尋ねない。


願わくば二人が不幸になりませんように、と祈るしか無かった。











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