過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第29章 綺麗な物語は万人に受け入れられる
朝日が眩しく感じる早朝にリヴァイ班の4人は
団長室に呼び出されていた。
緊張した面持ちで整列しながら、
目の前にいる第十三代団長エルヴィン・スミスの様子を窺っていると、
彼は重い息を零した後本題を話し始める。
「朝早くから君達を呼び出してすまないと思っている。
が、君達には話しておかなければならないと判断して、
この時間に来てもらった」
本来ならこの時間帯に4人にはそれぞれ当番が入っていた。
エルドなら厩の掃除、グンタは馬の世話、オルオは倉庫整理、
ペトラには食材の運搬という具合に・・・。
だが、それをさらっと無視して(当番を強制的に替えて)
団長様は4人を執務室に呼び出したのだった。
昨日、団長を散々変態だのストーカーだのロリコン(正確にはショタコン?)
だのと騒いだことがいけなかったのか・・・
急な呼び出しに4人の背筋には冷たい汗が流れる。
これで緊張するなという方が無理な話で、
正直4人はこの部屋から逃げ出したい気分だった。
そんな4人の心中を悟ったのか、
エルヴィンは「個人的な話だから緊張しなくて良い」と
柔和な笑みを浮かべた。