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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第27章 真の変態は誰だ?





リヴァイは調査兵団の合同墓地に佇んでいたナナシを発見すると、
遠慮せずその隣に並んだ。

亡骸は無いが、イザベルとファーランもここに祀られたのだろうと思うと
複雑な想いが込み上げてくる。

ナナシはリヴァイを見ることなく、
独り言のように話し始めた。


「一応、二人に挨拶しておこうと思ってな」

「そうか・・・」

「・・・…なぁ、リヴァイ。イザベルが私の事を友達と言ってくれた時、
戸惑いつつも嬉しかったのを覚えておる。
私には今まで友と呼べる者がいなかったからな」


慰霊碑に視線を向けたままリヴァイはナナシの話に耳を傾ける。

胸の内を語る事の少ないナナシの話は一言も聞き漏らしたくないと思った。


「だが、今では友が欲しいとは思わん。私には仲間も友も・・・
恋人もおらぬ方が良いのだと思い知らされてしまったのだ。
私がそれらを作ってしまったら、きっとそやつらを不幸にしてしまう」

「・・・そうか」

「あぁ、だから私はお主らを仲間とは思わん」


3日前も皆の前でそう言えよ、と心の中で思いながら、
リヴァイはナナシの言葉を静かに受け止める。

ハンジが言っていた「多分ナナシは優しい」という意見が
正しかったのだと、今の言葉でわかったような気がした。

自分がいるだけで他人を不幸にしてしまうと思い込んでいるのだろう。

それを否定するのは容易いが、
そんなものは気休めでナナシにかける言葉ではないと思う。

現に友達と言っていたイザベルは死んでしまったのだ。

多分それも自分のせいだとナナシは思っているはずだ。




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