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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第21章 口説く!





一気に捲し立てるように言われたエルヴィンはその言葉を反芻する。


「・・・つまり君は好きな人を殺されたから、
人類の為には戦わない、と?」

「掻い摘めば、そうなる」

「君は好きな人が成そうとした事を・・・
未来を作ろうとは思わなかったのか?
その人の夢を叶え、仇を取ろうと何故思わないんだ!?
そんなのは間違っている」


一途過ぎる想いと単純な理由に、
エルヴィンが眉間に皺を寄せながら責めるように言うと
ナナシは一瞬だけ悲しそうな顔をした。
「・・・どいつもこいつも同じ事ばかり言いおって」と呟くと、
瞳に強い光を宿し、エルヴィンの胸倉に掴みかかった。


「間違いだと?この世に正しいものなど存在せぬ!
正しいものとは人それぞれの価値観で決まってしまうからだ!
そんな事を宣う奴には虫酸が走る!
大体仇を取ったところであの人は生き返らん!
そんなもの、ただの自己満足ではないか!
そんなものに私は価値など見出せぬわ!」


激昂しながら叫んだナナシにエルヴィンは驚愕の表情を浮かべ、
その姿を見つめた。

いつも人形のように整っているその顔は苦痛と憎しみで歪められ、
どれほど感情的になっているかがわかった。

少しの衝撃で壊れてしまいそうな脆さも窺え
エルヴィンは努めて冷静さを作りながら、
胸倉を掴んでいるナナシの手に自分の手を重ねる。


「・・・すまなかった。私の失言だった」

「もう・・・帰れ」






「最後に・・・・チャンスが欲しい」








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