第2章 サプライズバースデー
「もうOK返信しちゃったわよ」
「取り消して!」
「ニノに賭けるのよ」
この人何言ってるの?
賭け事じゃないでしょこれ。
「いいから断ってよ!」
「っ!ニノにキスされて嫌だったんでしょ?もう、関わりたくないんでしょ?だったら、会ってはっきりさせればいいじゃない。さすがのニノでもそんだけ嫌がられたら、それ以上は何もしないわ。」
お姉ちゃんは真剣な顔で言う。
…確かに、お姉ちゃんの言う通りだ。
ここでいかなかったら、もしかすると関係が続いちゃうかもしれない。
それはいくらなんでもだめだ。
なら、また嫌な思いするのを踏まえて1回だけ会って、もう関わりを持たなくすれば安心だよね。
悔しいけど、後々のことを考えてだから。
「………わかった。行くよ」
「よし。まぁニノも、確かめたいんじゃない?」
「何を?」
「え?い、色々と?笑」
お姉ちゃんがそこで濁すのが分からないけど。
というわけで、今日がお姉ちゃん命名 チャンスの日なんですけども……。
もっといい名前なかったのかね。
て、そんなことはどうでもいいんだけど……。
「ちゃん、今日どっか行くの?そんなオシャレして」
「あっ…べ、別に……」
忘れてた。
今日は何故か親戚たちが来てるんだった。
あたしがどう答えようか戸惑っていると、横からお姉ちゃんが入ってきた。
「デートなんだってさ~♪」
「ちょ……お姉ちゃん。
あ、デートではないからね」
「あ、チャンスの日だったね」
『チャンスの日??』
もう、この人たちといると調子狂うな……。
「あ、あたし準備があるから」
あたしはそう言ってその場から逃げた。
「おかしくは……ない、よね?……うん、大丈夫、多分」
自分の部屋に戻り鏡の前で自問自答していると。
ポロン。
LINEの通知音。
二宮さんからだった。
確か、お誘いが来た日お姉ちゃんが勝手に友達追加してたっけ……。
《おはよ!ちゃん》
〈おはようございます〉
《準備できたら、LINE飛ばして?》
あたしは既読をつけずに、そのメッセージを読んだ。
あんな強がってたあたしだけど、本当は変な期待をしてる自分がいるの。
二宮さんのこと、あんな風に言ったけどどこかで、そうじゃないって信じてる自分がいる。