第2章 サプライズバースデー
「あんた、やるじゃないの!」
真顔でお姉ちゃんがあたしの肩をポンポンする。
「はあ?意味わかんないわよ!
あの人、最低にも程があるでしょ。」
本気でもなんでもないくせに、昨日二宮さんはあたしにキスしたの!
それも、あたしのファーストキス!
も、最低すぎる!
「でもさ?キスしたのも何か理由があってでしょ?あたしが思う限り、理由無しにそんなことしないし。」
「理由なんて、あってもなくても普通はそんなことしない!」
ことごとく否定するあたしをお姉ちゃんは笑った。
「ニノにキスされたのがそんなに嫌なの?」
「嫌に決まってるでしょう!だって、あたしのファーストキスだよ!?あたし、二宮さんのこと好きなわけでもないのに!二宮さんだってさ?あたしのこと好きでもないのに、そんなことして何が楽しいのか分からない!」
「も、もう返す言葉がないわ笑
でも、犯されなかっただけマシよね」
「ホントだよ。まったく。
アイドルなんだったら、もうちょっとさそこんとこちゃんとしてほしいよね。」
TVに出てる人だから、多少のね?そういう、仕事とプライベートの違いはあるだろうけど、それとこれとは訳が違う。
二宮さんにとっては、なんともない1回のキスにしか過ぎないだろうけど、あたしは大事にとっておいた1回だったのに……。
「はニノをそんな人だと思ってるの?」
「え?」
「……ニノ、あんな奴に見えて誰でも良いって訳じゃないよ。」
あれで?
ちょっと信用ならないけどな……。
「……でも、それだけの人ではないことは分かってるよ」
「そっか。
じゃあさ…………」
「…??」
「ニノからまたお誘いきたら、行く?」
はお?
それは、どういうことですか?
「いやいや、お誘いなんかくるわけないでしょ」
あたしは冗談のつもりで言ってるのかと思った。
「それが、きたのよ!」
「……はぁ!?」
あたしはお姉ちゃんのスマホを取った。
「ちゃんともう1回話してみたい。こないだなかなか話せなかったし、だからもう1回だけだめかな?
だって~♪」
あたしは、無言でお姉ちゃんにスマホ返した。
……え、これ今どういう状況?
嘘よね?
「お、お姉ちゃん、あの」
「ん?」
「悪いけど、それ断ってくれる?」
大体あたしは話すことなんてないよ。