第38章 -再会-(青峰大輝)
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高校を卒業して、
警察官になって最初の配属は、
何の因果か、高校ん時、
乗り換えで使っていた駅前の
小さな交番だった。
おかげでいまだに、
あの駅を使っている。
いつかまたあの女に
すれ違わねぇかな…とも思うが、
不規則な出勤時間では、
会うことはない。
オレ…こんな女々しいっつぅか…
いつまで引きずってんだ⁈
つぅか、最初にぶつかった時から、
もう何年たってんだよ…
最初は…オレが1年の時だった。
それから朝駅で探し続けて…
半年前か…?
またぶつかって、
あん時初めて声を聞いたんだっけな。
話し掛けようとしたら、
もう走っていたあの女…
それからも見掛けることはあったが、
向こうはOLかなんかだろう。
通勤途中に話し掛けることもできず、
たまに見つけて目で追う程度だった。
はぁぁぁ…らしくねぇ。
「…みねっ!青峰っ‼︎」
「あ?…はい。」
「…ったく。聞いてんのか?」
「まぁ、それなりに。」
もちろん嘘だが。
この交番は基本2人体制で、
今日は課長と一緒だった。
「これから署の打ち合わせに
行ってくるから、ココ、頼むぞ?」
「…うーす。」
「こないだみたいに
寝てるんじゃないぞ?」
うっせぇなぁ…。
先週、どうせ人も来ないから…
と、寝ていたら、
こいつが帰ってきてしまい、
こっびどく注意された。
「今度寝てたら、
タダじゃおかないからな?」
「…うーす。」
そう言って、課長は、
交番を出て行った。
はぁぁぁ…寝るか。
椅子に座って、あくびをひとつ。
やることもねぇし、寝るか。
裏から座布団を持ってきて、
デスクにセッティングをする。
よし‼︎
ガラッ……
げっ‼︎
慌てて座布団を椅子の下に隠す。
「あの…すみません…」
なんだ、課長じゃねーのかよ。
「はぁい…なんか…」
…………⁈⁈
「あ…定期を落としてしまって…」
そう言って交番に入ってきたのは、
オレが忘れられずにいた…
あの駅の女だった。