第37章 -衝突-(青峰大輝)
「えっ⁈きゃ…あ…ごめんなさいっ!」
わたしは慌てて男のコから離れる。
制服を着てるから、
高校生なんだろうけど…
デ…デカい…
さっきの小デブのおじさんの
デカさではなく、
背が高いし、ガタイがいい。
運動部なのかな…
色黒だし、野球部…とか?
…でも、ちょっと怖そう…?
なんかイマドキの
怖い感じのコだったらどうしよう⁈
…って、そんなこと
考えてる場合じゃなかった‼︎
わたしは慌ててイヤフォンを外して、
もう一度彼に謝る。
「あの…ほんとにごめんなさい‼︎
ケガはない?」
「ん?…あぁ。おまえは?」
あ…れ…?意外と怖くない?
優しい…。
失礼な第一印象から一変…
自分の変わり身の速さに呆れてしまう。
「うん!わたしは大丈夫!
あなたが支えてくれたし。」
「おまえさ…いつもこの…」
「あ!電車‼︎ごめんね、行くね!
ほんとにありがとう‼︎」
わたしはその男のコに頭を下げて、
また小走りで1番線を目指した。
イヤなおじさんにぶつかって、
テンション下がりそうだったけど、
あんな優しいコもいるんだなぁ。
今日はなんだかいいコトありそう♪
「ちっ…話くらい…聞けよ…」
でも…
男のコの小さな舌打ちと呟きは、
ギリギリで電車に間に合ったわたしには
知る由もなかった。
---End---