第36章 -掃除-(宮地清志)
トントン…
「すみれー?」
ガチャ…
すみれの返事はないが、
オレはすみれの部屋に入る。
………。
やっぱりな…。
小さな期待をして入ったはずが、
オレの期待はあっけなく裏切られ、
すみれの部屋は、
いつもの見慣れた光景のままだった。
足の踏み場もない…とは、
まさにこのコトで、
ベッドの上も物が散乱していて、
部屋の主のすみれは、
どこへ行ったのかと思えば、
部屋の真ん中の小さなコタツで、
丸くなっていた。
「すみれ‼︎おらっ‼︎起きろって‼︎」
「ん…んぅ…やぁ…」
…っ⁈
むにゃむにゃと何か言いながら、
起きないすみれ…。
つぅか、可愛い声出してんじゃねぇ‼︎
「すみれー‼︎起きろっ‼︎轢くぞっ‼︎」
ペチン‼︎‼︎
「いたっ…‼︎やぁ…なぁに…?」
オレが軽くすみれの頭を叩くと、
寝ぼけまなこのすみれが、
やっと頭をあげた。
「ふぁ…あれ…?清志…?
え…?なんで…?」
「…ったく‼︎何時だと思ってんだよ⁈
つぅか、片付けはどーしたんだよ⁈」
オレの幼なじみで彼女…
檜原すみれは、
勉強も運動もそれなりにできるし、
料理もできるし、気だてよし…で、
見た目もまぁ…可愛い。
だけど…
片付けだけが…
どうにもこうにも苦手な奴だった。