第21章 -大雨-(高尾和成)

-高尾side-


「どした？」


またすみれが固まっている。


「あ…えと…」


「…はぁ。言ったろ？
Hしに来たわけじゃないんだから、
そんな緊張すんなって♪な？」


オレのコト…やっぱり少しは
男として意識してんのか…って、
ちょっと期待しちまうけど、
そういうわけじゃ…ないよな。


「和成は…わたしと2人きりでも
なんとも思わない…？」


…っ⁈
突然すみれが聞いてきた。


「なんともって…？」


オレは気にしてないかのように、
すみれに聞き返す。


「その…いつも通り…だから…」


「なんで急にそんなコト聞くんだよ？」


「なんか…
わたしばっかり焦ってて
バカみたいなんだもん。」


はぁ…オレのコト、
なんだと思ってるのかね〜？



「は⁈いつも通りなわけねーじゃん！
ただでさえ、緊張してるっつーのに。」


…やっべ。
自分で言っちまった。恥ずかし…。


「すみれはさ、
オレのコトなんだと思ってるわけ？」


「えっ⁈」


オレは布団の端まで行って、
すみれの手を握って聞いた。


「友達？ただの幼なじみ？
1つの部屋で好きな女と2人きりでも
ぜんぜん平気なチャラいヤツ？
こんな状況で平然としてられる
超人だとでも思ってるわけ？」


オレは止まらなかった。
抑えていた感情が、
少しずつ解放されていく。


「かずな…り…？」


すみれは泣きそうな表情で、
オレをジッと見ていた。


「か…和成は…わたしのコト、
女のコだと…
思ってないのかもしれないけど…」


は⁈
だから、なんでそうなるんだよ⁈


グイッ…‼︎


「きゃ…っ。」


我慢できなくなったオレは、
すみれの腕を引っ張り、
そのまますみれを抱き締めた。


「だーかーらー‼︎話聞いてた？」


ギュ…


少し乱暴に引っ張ってしまったので、
オレは優しくすみれを抱き締め直す。


「好きな女の前だから強がってんだぜ？
すみれ、ガチガチだし、
少しでも安心してほしかったし…。」


「和成…」


オレが正直に言うと、
すみれはオレを見上げてきた。


…っ⁈
だから！それ反則‼︎今日何回目だ⁈