第20章 -年上-(黄瀬涼太)**★
それからほぼ毎日、
しずかっちとメールをしていた。
まぁ、正確には、
オレが送ると必ず返信をくれるだけで、
しずかっちから
送られてきたコトはない。
オレは最初の日こそ
「しずかさん」と呼んでいたが、
すぐ「しずかっち」と呼び方を変えた。
オレに穏やかな夜をくれたから…。
しずかっちはオレのコトを
「涼ちゃん」と呼ぶようになった。
オレ的には「涼太」でいいんスけどね。
たまに部活帰り…
しずかっちは会社帰りで…
駅でバッタリ会うコトもあった。
そして、あの公園まで話しながら歩く。
ほとんどオレの部活の話だった。
しずかっちは
あまり自分のコトを話さない。
でも、年だけは、
渋る割にすぐに教えてくれた。
「そいえば、しずかっちって、
何歳なんスか〜⁇」
「ん?女の人に年聞くかな〜(笑)?
28だよ。」
年齢を誤魔化して若返るなら、
いくらでも誤魔化すけど、
誤魔化しても何も変わらないので、
年齢は素直に言うのが、
彼女の持論らしい…。
「28か〜。見えないっスね〜♪
オレより12才上ってコトかぁ…。」
「えっ⁈そっか…そうだよね…
あ!じゃ、干支一緒⁈⁈」
「ん?○○(干支)っスか⁇」
「…うん。うわ〜なんかショック〜」
「なんでっスか⁇
一緒でいいじゃないっスか♪」
「よくないよ‼︎
わかってたけど、高校生って、
もう一回りも違うのかぁ。」
「しずかっちだって若いっスよ‼︎
可愛いし綺麗だし‼︎」
実際、しずかっちはモテると思う。
明るいし、話しやすい、
可愛らしい雰囲気かと思えば、
時折見せる妖艶な表情…
スラッと背が高い割に、
ブラウスやワンピの胸元の膨らみは
女性らしかった。
周りの男が放っておくとは思えない。
しずかっちがマネージャーだった頃に
オレもバスケ部にいたかった。
そう思った。
「アリガトー。」
「しずかっち…カタコトすぎっス。」
「だって〜。」
それでも、しずかっちは、
オレと一回り違うコトに
やたらこだわって、
苦笑いしながら、落胆していた。
オレとしては、
そんな話すらも楽しかった。
それからもメールをしたり、
会えば他愛ない話をする…
そんな日々が続いた。
オレはいつのまにか
しずかっちに夢中だった。