第10章 -理想-(火神大我)*★
「あ…ゴメンね、急に。
あ、でもね、知ってたの!
その人に彼女できたこと…」
オレが何も言えないでいると、
篠崎が喋り出した。
「2人が一緒にいるトコも見てたし、
でも、まさか…キスしてるトコ…
見るとは思わなくて…。
ほーんと、バカだよね。
キスくらいで焦っちゃって…。」
「別に初恋っつったって、
1回失恋しただけだろ?」
「なっ⁈ひどーい!そんな言い方!
やっぱりバ火神っ‼︎」
篠崎が急に怒鳴りだした。
「うっせーよ。
ま、その方がお前らしいけどな。」
「え…?」
「それに…まぁ、その服とか…
お前も可愛いく見えなくもないし…
すぐ次見つけりゃいいだろうが!
だから、そんな失恋くらいで、
クヨクヨすんなっ!」
「か…がみ…?」
…っ⁉︎やべぇっ。
オレ、さっきから何言ってんだ⁈
篠崎を…可愛いと思ってる…。
「おいっ!もう行くぞっ!」
オレは道も知らないのに、
こっぱずかしくて先に歩き出した。
「あ、違う!火神、こっち!
もう!バ火神〜っ!」
「はぁ⁈お前、知んねぇの⁉︎
バカっつぅほうがバカなんだよ!」
オレはついどっかのアホの
先輩みたいなことを言ってしまった。
「バ火神〜っ。」
「あぁんっ⁈うっせぇなっ!」
なんだよ、こいつ…。
さっきまであんな凹んでたくせに…
「火神…ありがとっ!」
「な…っ⁈」
「ほら、行くよ、火神!」
少しは…いつものあいつに戻ったな。
結局、藤宮よりも黒子よりも
遅くなっちまったが、
何があったのか言えるわけがなく、
ただただ2人でごまかしていた。
でも…まだ強がってたんだよな…
あいつ…。