第2章 ただ求めればいいもの
その後は、悠さんにお酒の種類や作り方について教えてもらったり、カウンターに座るお客さん(今日も全員女の人!)の対応をしたりしていた。
少しオーダーが落ち着いてきて、私は一安心していた。
一度に何個もオーダーが来ても全くあせる様子もなく淡々とこなす悠さんは凄かった!
しかもやりながらカウンターのお客さんたちの相手もしっかりしていて!
そして何より悠さんが作るカクテルはどれも綺麗で、それを作る悠さんの姿もかっこよかった。
…まぁ私はオーダーが重なると一人で焦ってあたふたしてましたが…
悠さんみたいな人を仕事が出来る人って言うんだろうな…
私の彼に向ける目はすっかり尊敬の眼差しに変わっていた。
悠「だいぶオーダー落ち着いてきたし、次のD3のビール、花音入れてみようか?」
「えっビ、ビールですか…?!わ、私には難しいと…」
突然の提案に戸惑っていると悠さんに頭をポンポンされた。
悠「大丈夫。俺が手伝うし。」
うぅ…この笑顔ずるい…
いつもの笑顔を向けられ、私は観念してしまうのだった。
「よ、よろしくお願いしますっ」
片手にグラスを持ち、ビアサーバーのハンドルを恐る恐る下ろしてみるーーー
「わ、わ、わ、いっぱい出てきたっ!」
予想以上に勢いよくたくさん出てくるビールに慌てる私。
何これっどうしたらいいーーー!?
すっと後ろから手が伸びてきて私のハンドルを持つ手に重なり、ハンドルを元にあった場所へと帰していく。
悠「ん、丁度いいね。」
「ーーーー//////!!」
耳元で囁かれ、私の頭はパニック状態。
顔はたちまち真っ赤に染まってしまった。
何なんだっ!この状況ーー!?
ドキドキし過ぎて心臓壊れちゃいそうだよ!
背の高い悠さん私を覆うように立っているので、まるで後ろから抱き締められているかのように錯覚しまう。
悠「次は泡。ハンドル奥に倒して?……そう。上手。」
耳元にかかる悠さんの息に全身がゾクゾクと粟立つ。