第27章 組曲:月下の夢 ”叢雲”
ごめんね、ずっと立たせっぱなしで、疲れたよね。
肩で息をする。
まだ目の焦点が怪しいが、徐々に理性の光が戻ってきているのが見える。ボクは、ギュッとそのまま彼女を抱きしめた。
ちょっと前まではこんなことはしなかったが、あの図書館の事件以来、性処理のあとは、こうして正面からを抱きしめるのが定番になっている。
なぜなら・・・、ほら、またきた。
発情が解除され、正気に戻ると、彼女は恐怖におののいて震え、涙する。
ボクの抱擁の中、小刻みに震えている。頬を合わせるようにしてぐっと抱きしめているので見えないが、ゆるゆると涙を流しているのがわかる。ボクの頬にの涙が伝うからだ。
「私・・・もう、ダメかも」
どきりとする。
だって、は強い人だ。めったに弱音を吐かない。
そのが震えながら、こんな事を言うなんて。
多分、勝ち気なの事だ、泣いているのを見られたり、言葉で慰められるのはイヤだろう。
そのかわり、ボクは抱きしめる腕に力を込めることで『大丈夫だよ』とことを伝えようとした。
5分ほどかけて、ゆっくりゆっくり震えが収まってきたので、ボクはそっと身体を引き離そうと力を緩めた。でも、今度はの方からボクの体を抱き寄せてきた。
「お願い・・・。もう少し、もう少し、こうしていて・・・。」
そのまま、10分以上、はボクを抱きしめ続けた。