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彼女はボクに発情しない

第12章 夏の初めの多重旋律


☆☆☆
今ボクらがハマっている対戦ゲームで、ボクは二人にコテンパンにやられた。

二人はガリガリくんをバリバリ喰っているが、ボクには何もない。
最下位が他の二人に奢る、ということになっていたからだ。

「お前の使うキャラ、ずるいんだよ!」
負けた悔しさでボクは長谷川に食って掛かる。
「まあ、まあ、これが実力差ってやつでしょ」
「お前はゲーム弱えなー」
弦次もニヤニヤしている。

ち・・ちっくしょー!

なんだかんだ言って、2時間ほど遊んでしまった。さすがに帰らんといかんということになった。ももう家についていることだろう。呼び出しがなかったところを見ると、無事だったようだ。

「じゃあな!補習頑張れよ!」
駅前で弦次が手を振って別れる。あいつは家が近いので電車を使わない。

「あ、ガリガリくん当たったわ」
長谷川がぼそっと言った。
当たったんだったらボクにもくれよ!と一応主張してみたが、当り棒を見せびらかしてきただけだった。

むっかー。

「俺、替えてから帰るから」
手をひらっと振ってコンビニに消えていく。結局一人で帰ることになってしまった。

むかむかむか!
あーなんかいいことないかな!!

腹を立てながら駅の改札に向かう途中、すっとハッピ姿の女性がチラシを差し出してきた。あまり何も考えずに受け取ってしまう。

捨てよ、と思ったが、ちらっと見たチラシに載っていた浴衣姿の女性がちょっとに似ていたものだから、まじまじと見てしまった。

えーとなになに。
『須賀大社古伝祭 夏祭り』とな?

縁日に浴衣コンテストもあるようだ。そういやの浴衣姿なんて、小学校の低学年以来見てないような気がする。
今、着たら、すっごく可愛いんだろなー。

チラシの女性にを重ねる。絶対、いい。願わくば、見たいものだ。

でも、まあ、無理か。

仮に『〜、浴衣着て、デートしよ』と言ってみたところで、叶えられる可能性は恐ろしく低い。めんどくさい、とか言われそう。

浴衣ね〜。

ボクは先日、こっそり見たエロ動画を思い出す。
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