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彼女はボクに発情しない

第12章 夏の初めの多重旋律


あの明るい空の下に出るのに躊躇する。私にはあまりにもふわさしくない世界のように思ってしまう。

「優子!一緒に帰ろ!」

ぽんと背中を叩かれた。ルリだ。
あれ?先に帰ったはずじゃ?

振り返ると、ショートボブのルリが肩に鞄を引っ提げて『ニッ』と笑っていた。ルリはよく笑う。私はこの笑顔が好きだった。

「大丈夫!優子は可愛いんだから!おっぱいも大きいし」

ルリには私が何を考えているか分かってしまっているようだった。でも、おっぱい大きい、はちょっと余計かな。
私の返事を待たずにルリが手を引く。

あっという間に私は光の溢れる世界に連れ出された。

眩しい。

「またさ、デート誘ったらいいじゃん。1回で落ちなきゃ何度でもさ。」
簡単に言うなー。

明るい陽光と、太陽のようなルリの優しさが、私の心を暖かくする。
なんだか、頑張れそうな気がしてきた。

ああ、高校2年生の人生で一度しかない夏が、始まる。
ルリに引きずられるように走りながら、私はいつしか、笑っていた。
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