第5章 first love…?
「はぁっ……はぁっ……!」
彩峰が、どういう訳か僕の方に突っ込んできた車から僕を庇って代わりに車にぶつかった。
そして、ピクリとも動かなくなった。
僕は、どうすればいいのか分からなくなった。
こんな時に限って、何故か彩峰の笑った顔ばかりが走馬灯のように思い出される。
考えたくはない。
だがこのまま、彩峰が動かなかったら……?
そう考えると、どうしてか分からないが胸が痛くなって涙が出そうになる。
しかし、その状況を打破できる男が1人だけいる事を急に思い出してしまったのだ。
仗助。
あんなクソったれの力を借りるのはこの上なく不本意だが、彼女がまた動いて笑ってくれるなら、そんな事を棚の上に置いてもいい。
僕は、仗助を探すべく走っていた。
車で行けば早いんじゃあないかと思われそうだが生憎そこまで頭が回っていない。
どこだ。
どこにいるんだッ、仗助……!
「あれ?露伴先生じゃあないっスかぁ」
背後からすっとぼけた声が聞こえて振り向くと、いつものマヌケ面をした仗助が立っていた。
「……仗助……」
「なんスかぁ、この世の終わりみたいなツラして」
この世の終わり?
この僕が、そんな絶望した顔をしているのか?
まあいい、今はそう思われてもいい。
「……彩峰が……」
彩峰の名前を出すと、仗助の表情が変わった。
「麻由佳さん?……麻由佳さんが、どうしたんだよ……」
「……車、に……」
そこまで言って、僕は思わず口を手で覆ってしまった。
「車にッ!?なんだよ、車にって!」
仗助が、僕の両肩を掴んだ。
「麻由佳さん、怪我してんのかよ!?まさか……」
彩峰が、動かないんだ。
助けてくれ。
そう、言いたいのに言葉が何故か出てこない。
それに業を煮やした仗助に肩を乱暴に揺さぶられる。
「おい露伴ッ!何か言えよッ!どうなんだよ!?」
「……っ」
何も言えない僕を仗助が睨みつけた。
「連れてけよ、麻由佳さんの所!この辺じゃ怪我人はぶどうヶ丘病院行くだろ!?」
仗助に気圧されて僕は思わず頷いてしまった。
「んだよぉ!いつもの威勢はどこいったんだッ!おら、行くぞッ!!」
仗助に引っ張られて、僕は再び走り出した。