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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第8章 【五条悟・伏黒恵】クロユリは君を離さない Ⅱ**


こういう時って、どうしたらいいんだろ。

誰かが帰ろうとして。
それを引き止めたいなんて、今までなかった。

向こうが離れたなら、それで終わり。
追いかける必要なんてなかったし。

だから、わからない。
何て言えば、は帰らない?





「……私も?」

「え?」



が今度はまっすぐ僕を見た。
その目に、うっすら涙が浮かんでいる。



「私も……同じですか?」



一瞬、何を聞かれてるのかわからなかった。


同じ?
あの女とってこと?

が?



「…………っ」



いつもなら、適当なこと言って。
冗談言って。
笑って誤魔化せるのに。

なぜか、何も出てこない。



「……ごめんなさい。変なこと聞きました」

「いや、――」

「帰ります」



が俯いて、僕の横を通り過ぎる。


違う。
そうじゃない。

今のは、そういう意味じゃない。


が僕から離れていく。
考えるより先に手が伸びて、その細い手首を掴んだ。



「」

「は、離して」

「…………」

「先生、離してっ」



いつもとは違う。
本当に僕から離れようとしてる、本気の声。

が僕の手を振りほどこうと、強く腕を引く。



「……やだ」



ほんと、僕何言ってんの。



「……え?」

「だって、離したら帰るでしょ」



が目を見開いて僕を見る。



「せ……先生だって、さっき駅まで送るって言ったじゃないですか!」

「それは、が帰るって言うからでしょ。僕、帰ってほしいなんて言ってないし」



がますます困ったような顔になる。


今までのなら。
僕が少し引き止めれば、帰るなんて言わなかっただろう。

なのに今は、僕の知らないところで恵とあんなことして。
さっきまであんなに嬉しそうだったのに、急に帰るなんて言い出して。


僕の知ってるじゃなくなっていく。






僕は、それが嫌なのか?


手首を掴む手に、無意識に力が入る。
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