第125章 依々恋々(いいれんれん)
なんか、何か喋らなきゃ・・・
変な子って思われる、嫌われる!
ダメダメ!!ダメ!!明咲!なんか・・・何か言うのよ!!
「だ・・・あ・・・あ、暑い・・・お部屋、暑かったから!!!」
やっと言えた。唇は震え、舌は渇き、声が裏返るのを必死で堪えて絞り出した言葉だった。
「そうだったんだ。窓開ける?」
私の言葉を受けて、九条様がそっと手を離す。
『ああ・・・!』という後ろ髪を引かれるような思いと、
緊張から解放されてホッとするような感覚、二つの思いが交錯し、私はさっと顔を伏せた。
「あ、も、もうすぐ測量が終わりますがので、大丈夫です。く、九条様はお外で待機されてくださいませです」
日本語が崩壊寸前。
『ますがので』ってなんだよ!と思う。
そんな私の体たらくも、九条様は笑って受け流してくださった。
「そう?分かった。でも暑いならさ、ちょっと窓開けておくね。
うん、ごめん、ごめん。集中しているところ邪魔しちゃったかな」
そう言いながら、お部屋から出ていかれた。
ああああ・・・違う、違うんですぅ
邪魔、なんて思ってない、思ってません。
むしろ、一緒の空間にいたい。なんなら一緒に暮らしたい。
いや、でもでも、待って、明咲、
たったこれだけの接近で、呼吸困難、心不全寸前にまでなっていて
一緒に暮らしたりなんかしたら、一体どうなってしまうの!?
ああ!でも、好き好き・・・好き、大好きです!
九条様ああ!!
悶えること10分。
九条様が退室されて、やっとのことで落ち着いた私は、測量を再開することができた。
さて、リビングの測量を進めなくちゃ。
ここまでで高さ方向の測量を終えていた私は、今度は横方向の測定に移ろうとベッドを少し横に動かすことにした。部屋の床の正確な寸法を測る必要があるからである。
よいしょっと。
そして、ベッドを動かしたとき、私はそこに、ある奇妙なモノを見つけたのだった。
「え?・・・これって・・・」
それは、ベッドに隠れて使いようがないコンセントに刺さったままになっていた、不自然なほどに新しい三口の電源タップだった。