第8章 光と私と翔の夜
知らない内に…自分の目から
涙が…零れて…来ていて、
ポタポタ…と…私の頬を伝って
私の手を握っていた翔の手の上に落ちて。
『なゆた…、泣かないで。
なゆたは…何も…悪くないよ?
自分でも……このままじゃ…
ダメだって…事は…ちゃんと分かってる。
でも…、僕は……その理由に
なゆたを…してしまいたくない…
今は…それだけ…君に…伝えさせておいて』
翔はそう言うと…もう一度
私にキスをして来て…。
このキスは……私への…キスだな
って…そんな風に…感じながら
翔のキスに…私は…身体を委ねていた。
私が泣いちゃったから…
目が赤くなってしまってて。
ぎゅっと翔に抱っこされたまま
ベッドの上に座って、
翔と…沢山…キスをした…。
翔とキスをしたのは、
何度もしてるけど…。
このキスは…今まで…した
キスと…違う…意味のキスだなって。
そんな事を…私は頭の
端っこの方で…考えていた。
ーー
ー
それから…10分ほど…
私は翔の腕の中で過ごして。
目が赤くなってたのも…
落ち着いた感じになって来たから。
メインベッドの所で終わるのを
待っている光の元に向かった。
さっきメインベッドの所から
このミニキッチンの横の廊下の
歩いて数歩の距離が…凄く
遠くに感じた感覚は…、
今は不思議と…私は感じてなくて。
翔のいるサブベッドの所から
光のいるメインベッドの所と
廊下を区切っているカーテンの前に
私は立つと、中に居る光に声を掛けた。
「光お兄ちゃん?光お兄ちゃーーん?」
ペラペラのカーテン1枚の
向こうに居るはずなのに、
中に居る気配はあるのに、
カーテンのこっち側から中に居る
光に呼びかけても返事が返って来なくて。
ジャッ…と廊下とベッドの所を
区切っているカーテンを開くと。
驚いた顔をしている光が居て。
『は?…お前ッ…なんで居るんだよ?
まだ…翔の…時間終わってねぇだろ?』
「翔お兄ちゃんが…光お兄ちゃんを
こっちに呼んで来いって…言ったの…」
『なゆ、さっきの…時間で
…………翔と、…したのか?』
その光の質問に私はううんと
自分の首を左右に振った。