第19章 笑わない人が笑った時ってキュンとする(爆豪勝己)
「……やっと来やがった」
そのサイレンの音に、まだ事態は収拾もついていないのに何故かホッとして力が抜けてしまう。
「ダイナマイト、皆さん大きな怪我はありません」
いつの間にかビルから要救助者を連れて出てきていた繭莉が、勝己の横に歩いてきた。
「あぁ」
「あとは救急隊の方が来るのを……っ……」
そう言いかけた繭莉の身体が、後ろにふらりと倒れそうになる。
「っと……!」
勝己は咄嗟にその身体を腕で受け止めた。
「すみま、せん……急に、力……」
「別に構やしねぇよ」
繭莉の膝裏に腕を入れて、横抱きにする。
「あとはテメェ等でなんとかしとけ」
三奈と透にそれだけ言って歩き出そうとすると、背後から彼女達が口々に勝己をイジりだす。
「なーんか爆豪その子に優しくない?あやしー!」
「ホント!気持ちわるーい!」
「マジでうっせぇんだよ!」
イジられた所為でここから逃げ出したくなった勝己はもう一度2人にガンを飛ばすと、繭莉を抱えたまま上鳴の事務所に向かって歩き出した。
「……あの、爆豪さん……」
暫く歩いていると、それまで大人しく勝己に抱えられていた繭莉が口を開いた。
「あ?ンだよ」
「……すみませんでした……その、色々……」
色々。
その『色々』には、先程のキスの事も含まれているのだろうか。
あの時、繭莉は『すみません』と言ったしきっと含まれているのだろう。
「別に」
そっけない返事をすると、繭莉が勝己の服をキュッと掴んだ。
「……あ、あの……」
「今度はなんだよ」
「…………」
「ンだぁ、はよ言えや」
黙り込んでしまった繭莉に、続きを催促すると彼女は顔を真っ赤に染めて目をギュッと瞑った。
「……私……」
そして、勝己の胸元に顔を埋めた。
「好きに、なってしまったかもしれません……爆豪さんの事……」
今にも消え入りそうな声で、繭莉が言った。
「……っ……!」
その告白を聞いた瞬間、ぶわっと一気に顔が熱くなるのを感じた。
「……俺……」
「……?」
顔を赤く染めたまま、繭莉が恐る恐る勝己を見上げてきた。
「……まぁ……ンだぁ……あれだ……俺も、好きだ」