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たまのケージ【ヒロアカ】

第15章 本当はね(ホークス)


「彼氏にあっさりフラれちゃうし、仕事も会社の所為で無職になっちゃうし、親が熟年離婚するとか言って今イザコザの真っ最中だし……他にも細かい事挙げたらもう、嫌な事だらけです……いい事なんて最近ないですよ……」
「あら……大変ねぇ」
「あ、けどさぁ!そんな彼氏ナシの甘井さんには、上村さんがおススメだよ!」

私の話を聞いていたらしい海野さんが、そう言ったけど私の頭には疑問符が浮かんだ。

「上村さん?」
「そ、この病棟の看護師の!28歳イケメン彼女ナシ!優しいし、背も高いし」

 背の高いイケメン看護師……?

私は、ふとさっき会った看護師さんを思い出した。

 特徴的に、あの人かなぁ……どうだろ……

「ちょっと、その上村さんとやらを見て来ようかなぁ……」

ちょっとした好奇心で上村さんを見たくなった私は、上りかけていたベッドからまた降りた。

「あはは!いってらっしゃーい」
「早く帰って来てね~」

みんなに手をひらひら振って病室を送り出された。


私は、廊下を歩きながらキョロキョロと辺りを見回した。

 例の上村さんはどこかね……

そう思っていると、廊下の先に背が高い看護師さんの後ろ姿が見えた。

 あ、アレか!上村さん!

 いや……でも待てよ?

 いきなり話しかけるのも、おかしい気が……

怪しい患者になりたくなくて、病室に引き返そうと回れ右をしたその時だった。

「甘井さん」

後ろから呼び止められて、振り向くとさっきまで後ろ姿だった看護師さんが私の方に向かって歩いて来た。

「あ、えっと……」
「僕、看護師の上村といいます。……やっぱり、覚えてらっしゃらないですよね?」

 覚えて……?

 私、この人とどっかで会ってんの?

急いで自分の記憶を漁るけれど、こんな優し気イケメンの記憶は露ほども存在しなかった。

「す、すみません……どちらでお会いに……?」

私がそう尋ねると、上村さんは少し恥ずかしそうな表情を浮かべた。

「あの、もう何年も前なんでアレなんですけど……甘井さんが働いてらっしゃったサロンに1回だけ行った事があって」

私は確かにリラクゼーションサロンに勤めていた。この間まで。

「もうあの時、肩も首もすっげぇスッキリしちゃって!通いたかったんですど、引っ越して自宅から遠くなってしまって」
「……はぁ……」
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