第3章 自爆
「りーおちゃん」
馴れ馴れしく呼ぶたびに嫌そうにする顔が、好き。
嫌そうにするくせに無視しないでちゃんと応えてくれる優しさが好き。
『一緒にご飯食べるなら、乗る』
俺が寝食をきちんとして、人間らしく生活していれば莉央ちゃんは満足する。
寝ることも食べることも、俺にとってはなんの意味もないけど、それでこの子が満足するならいくらでも利用させてもらう。
警戒心を解くトリガーになるなら、いくらでも利用する。
ごめんね。
莉央ちゃん。
だけど。
あんなに張り詰めていた警戒心の塊だった莉央ちゃんが躊躇なく、俺の車に乗り込む様をみて。
あの時、何がが音を立てて崩れていく音がした。
「…………やなせ?」
自分の中に渦巻くどす黒い感情が、たった一言で浄化されてく気がする。
「ちゃんと、寝た?」
自分の方が怪我してるのに。
たぶん昨日だって感じただろう嫌悪も恐怖もまだ根底にあるだろうに。
あー。
なんかもう。
「寝たよ。莉央ちゃんの手握ってたら良く眠れた」
「って、え?ここで?椅子座ったまま?そんなん寝たうちになんないじゃん!!寝て!今すぐ!ベッド貸したげるから」
力任せに引っ張って。
俺の身体を自分のベッドへと引っ張り込む莉央ちゃんに、ほんの一時、思考停止。
したあと。
知らずに笑みが溢れる。
「もーなんで家帰んないかなぁ。ずっといたの?」
「莉央ちゃんひとりにするわけないじゃん俺が」
「…………よくゆー。散々ほっといたくせして」
ああこれはもう。
なんなん。
「それさ、莉央ちゃん寂しかったって言ってる?」
「いや!いやいやいやまって、一言も言ってませんが。ポジティブ思考まじ怖」
「そうなの?昨日は確か俺に会いたかったって聞いたけど」
「いや待って!!頭どーなってんの!?解釈!!」
「違うの?」
「ぜんっぜん、違うっっ!!」