• 小
  • 中
  • 大
  • テキストサイズ

【ヒロアカ】愛と癒しの代償【R18】

第6章 新たな日々、非合理的な感情


歩いて数分。
裏路地のような場所に、ひっそりとした居酒屋があった。

木の引き戸。
灯りは控えめで、どこか安心する雰囲気。

相「……ここだ」

ガラガラ、と戸を開ける。

相「こんばんは。今、いけますか?」

「おや、相澤くん。仕事終わりかね?お疲れ様。いいの、入ってるよ」

相澤の後ろから、がひょこっと顔を出す。

「こんばんは」

「おや……」

じっと見て、にやり。

「いいねぇ。こんな可愛い子連れて。彼女かい?」

相「……違います。職場の同僚です」

「そうかい。でも誰か連れてくるのは初めてだねぇ」

意味ありげに店主は笑ってから。

「まぁ、ゆっくりしていきな」

⸻

座敷に通され、小さなテーブルを挟んで向かい合う。
湯気の立つお通しと、水が置かれる。

相「食べたいもの、好きに頼んでいい」

「え……」

相「日本酒は、甘口からいこう」

メニューを渡され、は真剣に文字を追う。

「……うーん……」

しばらく悩んでから、そっと顔を上げる。

「……あ」

相「ん?」

「あん肝……食べても、いいですか……?」

相澤の口元が、ほんの少しだけ緩んだ。

相「……渋いな」

立ち上がって、店主を呼ぶ。

相「あん肝と、刺身。酒は……甘口のおすすめを」

「はい、了解」

暫くして、料理と日本酒が運ばれてくる。

相澤が静かに徳利を傾けた。
綺麗な指先に目線がいく。

相「……じゃ、乾杯」

小さなグラスをコツン、と合わせる。
出された日本酒を一口含んだ瞬間、口の中に米の甘みが広がった。

「……っ、なにこれ……美味しい……」

思わず零れた本音に、相澤の視線が向く。

相「そうか」

短く、それだけ。
けれど、どこか安心したような声音だった。
/ 740ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp