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【ヒロアカ】愛と癒しの代償【R18】

第4章 別れの日、歩き出す先


翌朝。

知らない人たちが家にいた。
知らない言葉を使って、「事故」「不運」「気の毒に」と繰り返していた。

母は、帰ってこなかった。

昨夜の言葉だけが、頭に残る。

——母「一緒にお酒を飲もっか!」

それだけが、異様に鮮明だった。

泣くタイミングも、縋る相手もわからない。

ただ、息をするのが苦しかった。

気付けば外は暗くなっていた。
食べ物も何も口にしていない。

なんとなく、腰を上げた。
そして何も考えずに外に出た。

誰かのそばにいたかった。
でも、誰に会えばいいのかわからなかった。

気付けば、知らない場所でしゃがみ込んでいた。

⸻

相澤はその日、ひどく疲れていた。

新年の準備、担任、校内の調整。
考えることばかりで、頭が重い。

仕事帰り、視界の端に人影が入った。
路肩に、しゃがみ込む誰か。
本来なら、足は止まらない。

怪我もなさそうで、事件性もなくて、助けを求める声もない。

それでも。
なぜか、視線が外れなかった。

理由はない、説明もできない。

——ただ、放っておけなかった。

相「……大丈夫ですか」

声をかけてから、わずかに眉をひそめる。
俺らしくない。

相手は顔を上げた、暗くてあまり顔は見えないが、泣いてはいない。
けれど、どこか壊れかけた目をしていた。

相澤は一歩も近づかず、静かに続ける。

相「怪我はなさそうですね」

首が小さく振られる。

それで終わりのはずだった。
なのに、足が動かなかった。

少し離れた場所に腰を下ろす。
話しかけない、慰めない。
それでも、ここにいる。

それが必要だと、なぜか思った。
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