第21章 「可惜夜に眠る 前編**」
「、それ暑くね?」
虎杖くんが、不思議そうに首を傾げて聞いてきた。
無邪気なその質問に、うっと言葉が詰まる。
……確かに、暑い。
自分でもわかってる。
でも、この下は……。
(まだ……無理……!)
「ひ、日焼け防止! そう、日焼け防止だから! 私、焼けると、痛くなっちゃうから……!」
苦し紛れにそう言うと、虎杖くんは「ふーん、女子って大変だなー」と素直に納得してくれた。
隣で野薔薇ちゃんが「アンタねぇ……」と呆れた顔をしてたけど、見なかったことにした。
(だって、心の準備できてないんだもん……)
「いやー、海日和だね!」
声がした方を振り返ると――
ビーチの一角、そこだけ避暑地のように優雅なスペースが出来上がっていた。
大きなパラソルの下、ビーチチェアに寝そべる先生の姿。
アロハシャツにサングラス。サイドテーブルにはトロピカルジュース。
その傍らには、執事さんが恭しく控えていた。
執事さんが、優雅な所作で一礼する。
「悟様、何かありましたらいつでもお呼びください」
「ん、ありがとね〜」
私たちは呆気にとられて、その光景を見つめた。
京都でも思ったけど、この人は本当にとんでもない家の当主様なんだと改めて思い知らされる。
(……っていうか、執事さんがいるなら、掃除手伝ってくれてもよかったんじゃ……?)
みんなの顔を見渡すと、思ってることは同じらしい。
うん、深く考えるのはやめよう……
「じゃあ、肉とメロンを賭けた争奪戦……」
「『第一回・呪術高専ビーチバレー大会』を始めまーす!」
先生が指をパチンと鳴らすと、少し離れた砂浜を指差した。
「コートはあっちね!」
見ると、そこにはプロの試合ができそうなくらい立派なネットが設営されていた。