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【天は赤い河のほとり】短編集

第4章 ルサファ:01│雨が上がる時


【雨が上がる時】ドリームside
ルサファ:片想い│4/9P┃6500文字
ドリノベ様再投稿用変加筆済
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「ルサファさんっ」

すごく飲んでいてふらふらしてるわりには足取りは確かで、自分の部屋へと迷わずに無事に辿り着いた様子だった。ただ、声を掛けてもぼーっとうつろな瞳はわたしが誰か分かっていないようだったけれど。

部屋へ入るなり真っ直ぐ寝台に向かい、倒れ込んだ彼が心配で「お邪魔します………」と断って台所で水瓶を探して飲み水を用意する。


「大丈夫ですか…」

水を入れたカップを倒れている彼に渡して飲むように勧めると、ゆっくりと起き上がって口に含んでくれたのでひとまずは安心して胸を撫で下ろす。

(一体どうしたのだろう。わたしの知る限りではこんなヒドイ飲み方はしない人だし……)

なにか、があったのは明確だった。


返事もなく静かに佇んでいるルサファさんに視線を戻すと彼はカップを持ったままで、それを見つめているまま微動だにしないで固まっているようだ。普段なら見せない瞳の色でそれはとても悲しみを湛えている。

「ルサファさん…大丈夫ですか……」

そっと横に座って背中を撫でた。

びくっ、と揺れたけれどイヤがることはなかったので撫で続けていると、カップを見つめる瞳から雫が頬を伝う。泣き出したルサファさんを見て、わたしは驚きのあまり一瞬息を飲んだけれど、悲しみでいっぱいの彼が───止まることのない涙が切なくて彼を抱きしめる。

するとゆっくりとこちらに顔を向けた彼はすがるようにわたしを寝台へと押し倒す。

その涙がわたしを濡らしていた。


執筆日(15/11/28)
変加筆(24/03/10)
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