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【天は赤い河のほとり】短編集

第3章 イルバニ:03│刹那は貴方から始まる


【刹那は貴方から始まる】ドリームside
イルバーニ:婚約者│3(2/2)/4P│5000字
ドリノベ様再投稿用変加筆済
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そうして────

戦争が勝利で幕を閉じて、両国間に[和平]という形で平和が訪れ、イルバーニ様も無事のご帰還をなさったと聞けました。皇帝陛下が聖女様を正妃に迎えて、国中がお祝い一色です。

皇帝陛下──『イルバーニ様のお仕えするカイル殿下がご結婚なされた』そう、その事実は少なからずわたくしに期待をさせるものでした。

なので国民のみなさんが喜んで、祝福しているのとは一風も二風も違う喜びと安堵がわたくしに混ざっていたのはやぶさかではありません。

(いまだに、期待してしまいます………)



でも、待てども待てども彼からの連絡は相変わらず一切来なくて、本人以外の伝言やお話も全くなにも、わずかにも無かったのです。

わたくしとイルバーニ様が出会って婚約をしてから実に7年の年月が経っておりましたので、やはりこの婚約は無かったことになっているのだと───一人でただただ泣きました。




















それからのわたくしは自他共に[行かず後家]の扱いになり、我が家の跡継ぎが婚姻した家にはとても居られるものではありません。

その場合は残りの人生を神殿での御奉仕に殉じようと決めておりましたので予定通りに行動するのみです。最後まで父が反対して下さったのが唯一の喜びでした。


少しの荷物と共にわたくしが生家を出たのは風がとても気持ちのいい日でした。皮肉にもあの方と出逢ったあの日の空とそっくりで────瞳を伏せたらその姿も声音も鮮明に浮かんでしまいます。


『よろしければ少し…二人でお話しませんか』

(ふふ、そう言ったあの人は人形みたいに淡々としていたのよね。でもそんなのとは裏腹に言ってることもやってることも優しかった………きっとそんなあの人の全てに恋をしてしまったのでしょう)

長い、とても長い……夢のような儚い恋。

(どれだけ放置されていてもイルバーニ様以外なんて考えられなくて、絶対にイヤだった)


わたくしの、人生をかけたワガママ。

わたくしは今もあの刹那の中にいる。


変加筆(24/02/17)
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