第30章 花贈~hana okuri~
「もしやるとしたらいつになるのでしょうか?」
「毎年この位には花迎として行っていたので、少し変えるだけで準備は終わります。来られなかったときには花迎、こうして運がよく来ていただけたなら花贈として…」
「だから…」
「花車の準備等であれば明日には出来ます。」
「……・・」
そんな時だ。長の孫だろう年頃の幼子が三蔵の近くにやってきた。
「…三蔵さま?」
「ぁ?」
「…ありがとうございます」
「こら、結連、無礼だぞ…?」
「おじいちゃん…だって…三蔵さまなんでしょう?花車…見れる?」
「…ッ…」
「結連…待ちなさい…」
仕込まれたものではないというのはすぐに解るほどに純粋な目で見つめられたのだ。
「…ハァ…解った。」
「え?」
「俺は乗る。でもこいつは違う。」
「しかし!旅を一緒にされているのでしょう?!」
「そうだとしても、だ」
「しかし花贈には巫女様も…ッ!」
「あの、」
「…理世?」
「乗るだけ、なんだよね?」
「おいおい、理世…聞いてたか?」
「ん、あとは三蔵と一緒に一晩いるだけでしょう?」
「……まぁ、そういう所です」
「なら大丈夫だよ。私は…巫女ではないんですけど…それでもいいんですよね?」
「はい…真似事でも構いません…」
「そう言ってるし…逆に申し訳ないんですが…」
長は深々と頭を下げた。
「本当に感謝いたします。ありがとうございます。」
そう伝えていた。
「…花車、見たかったんだ!すっごくきれいなんだって…!」
「そうか…」
そう結連に聞かされた三蔵。するっと頭を撫でれば嬉しそうに結連は目を細めて笑っていた。
宿も一番いい部屋を取ってもらい、食事も準備してもらえた。もちろん歓迎という名の元に金銭はかからなかった。