第1章 前日譚1:コラさんとはじめまして
《AnotherStory》闇夜の太陽:前日譚1
3(3/3)/5P┃ドリノベ版06/09P┃2000字
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(きっとコラさんもとっさで[珀鉛病]を忘れていて恐らく素だったんだ。だけど私があんなことを言ったせいで普通の人々の反応を思わざるを得なかったんだろうな)
「……よろしいのでしたら、塗って来ます」
まだぽかんとしているコラさんの手から塗り薬を奪い、テントの中に入った。
高性能の物ではないけれど風を防いで一定の温度を保てるテントはないよりマシなはず。
苦しそうなローの襟元を胸まで開く。白い斑点が薄暗いテント内でもはっきりと分かるくらいに存在を主張している。
「少し触るね。……塗ると楽になるからね」
一応軽く断りを入れてから、返事のないローの体にスースーとした成分が入っているジェル状の物を胸、首、鼻の下に順番に塗っていく。優しくゆっくりと塗り拡げるように。多分[手当て]と言う言葉が本来の意味を持つ行為なんだと実感した。
「…………か………あ……さ…ま…………」
胸に塗り込んでいた時に、私の指をきゅっと握った小さな手。たまらずその手を握って頭を撫でてしまう。
(具合悪いときって心細いものだもんね…)
「大丈夫だよ…ここにいるから……早く善くなってね…」
熱に浮かされていたんだろうか、私の言葉にローはどこか安心したように薄く微笑む。
(珍しい…!なに、めちゃめちゃ役得!!)
こんな時なのに、通常営業してくる不純なミーハー心が胸に湧いてしまう、私の腕を数度叩いてツネッてみる。