第23章 あらぬ疑い
「だから、あの、どうしてドクターを縛っていたのかソーンズさんに聞いてみて欲しいんです……」
「え、俺がですか?」
他にも頼める人はいるだろうに、よりによって俺なんだ……? 俺はムースさんを見、今の時間を確認した。夕飯の時間までには間に合うだろうか。
「お、お願いします! ジェイさんしか頼めないんです!」ムースさんは俺に必死そうな様子で懇願してきた。「ムース、その……ソーンズさんがちょっと怖くて」
「はぁ……」
ソーンズさんとそこまで親しい訳ではないが、彼が怒っている顔は想像出来ない。本当に怒るのかなぁと考えていると、俺が迷っていると勘違いしたのか、ムースさんが更にこう言ってきた。
「お食事の準備はこのあと手伝いますから! お願いします……!」
そこまで言われて、断る理由があるだろうか。こんな必死そうな子どもを前に。
「まぁいいっすけど……」
聞いてくるだけだもんな。俺は軽い気持ちで引き受けた。