第12章 守られること
「男しか生まれないスパーダの子孫と、女しか生まれない魔女の一族と……つくづく、因果な関係だね。アタシたち」
「因果や運命など、くだらん」
バージルはあっさりビアンカの言葉を切り捨てた。
そんな言い方しなくても……と苦笑する彼女を抱き上げ、向かい合うように膝の上に載せ、バージルは当然のように言葉を続けた。
「選んだのは、俺だ」
思った以上のカウンターパンチを食らってしまった。
ビアンカはぽかんとバージルの顔を見つめる。
彼は淡々と、当然のようにそう言った。
まるで「それが何か?」とでも言いたげな顔で。
膝の上に抱え上げられた彼女の体は、彼の両腕の中にすっぽりと収まっている。
(いや、ちょっと待ってよ)
ビアンカは混乱しながら、先ほどの自分の言葉を振り返る。
「因果な関係だね」なんて、どこか皮肉っぽく言ったつもりだった。
なのにそれをあっさりと「くだらん」と切り捨てたバージルは、さらに続けてそう言ったのだ。
(なにそれ、ずるくない?)
ビアンカの胸がドキリと跳ねる。
この男は、どうしてこうも無駄に真っ直ぐなのか。
まるで自分の選択に、一切の迷いがないと言わんばかりに。