第26章 【finale】
「ハリー・ポッターは何処にいる?」
「分からない……ただ、ホグワーツに居ないことだけは確かだ」
「ホグワーツに居ない?……まさかっ!?」
そう言うなり、ヴォルデモートは急いで杖を振り、傍にいたナギニをガラス玉のようなもので封じ込めた。きっと残りの分霊箱を探しているとでも踏んで焦ったのであろう。
また同様に、クリスもナギニ同様の大きなガラス玉の様なものに包まれた。
ガラス玉は宙に浮いており、中からどんなに力を込めて叩いても、どんなに大きな声で叫んでも、ただ反響するだけでだった。
どうにか時間を稼ぎたかったが……こうなってしまったら何も出来ない。クリスは己の不甲斐なさに「クソッ!」と言いながら強く拳を握った。
歯がゆい時間だけが過ぎて行き、その間、クリスはDAメンバーの無事をただひたすらに祈っていた。そしてどうかハリーがDAメンバーと合流してくれれば――と。
どれくらいの間そうしていただろう。夕焼けが沈み始め、禁じられた森で木々が揺れ動き、サワサワと音を立てた。
そして何者かの到来を告げる様に、辺りに生暖かい風が吹いた。
「――来たか、ハリー・ポッター」
ヴォルデモートの言葉に、周りの『死喰い人』たちが一斉にざわめいたが、周囲にハリーの姿はない。
一瞬だけ水を打ったように森に静けさが訪れると、何も無かった場所からハリーが透明マントを勢いよく脱ぎ捨てて、敵陣の真ん中に現れた。
それに対して、ヴォルデモートはハリーとの再会を夢見ていたかの様に、歓喜に顔を歪めた。
「……これが最後だ。決着をつけようヴォルデモート」
「良かろう、杖を構えろポッター」
そう言うとヴォルデモートは杖を取り出し、ハリーも同時に杖を手に取った。しかし、ハリーから覇気の様なものが全く感じられない。
これは絶対に何かがおかしい……。クリスはどうにかハリーに声が届く様に必死に叫んでみたが、やはり球体の中で反響するだけに終わった。
そんなクリスに向かって、ハリーはふっと笑った。
「これからの事……よろしくね、クリス」
「ハリー……?」
ハリーはまるで遺言のような言葉を残すと、抵抗もせずにヴォルデモートの放った緑の閃光に体を貫かれた。
そしてあの日の父様の時と同じ様に、ゆっくりと地面に倒れた。