第25章 【セブルス・スネイプ】
チャーリーの言う通り、ハリーの猛攻撃に怯えたディメンターは『姿くらまし』を使って消え去ったようだ。
ハリーの周辺には、『死喰い人』や狼人間などが気絶して倒れており、その光景を見たハリーは自分自身が怖くなった。
「僕……僕、その……」
「焦るなハリー、焦っても何も良い事はないぞ。むしろこう言う時こそ冷静さが必要なんだ」
まさにチャーリーの言う通りだった。先ほどまでの自分は頭に血が上り、敵味方もろとも気絶させていてもおかしくなかった。
ハリーが冷静さを欠いた事を反省するように、わずかに下を向きながら目をつぶって深呼吸をした、その瞬間——またもやハリーの脳裏に、今見ているヴィジョンとは別のヴィジョンが“視えた”。
地面を這っているこの感覚は恐らくナギ二視点だろう。ハリーは――いや、ナギニはその長い体をくねらせながら、ご主人様の所へ行った。
同時に、ご主人様の傍に立っている男を足の先から天辺まで見回した。そこに立っていたのは間違いなく――スネイプだった。
「……頭の良いお前ならもう知っているだろう?セブルス」
「申し訳御座いません我が君、私めには何のことか……?」
スネイプははた目にもハッキリ分かるほど怯えていた。ろくな明かりのない部屋の中で、ナギニとヴォルデモートは立ち尽くすスネイプの周りをゆっくりと回って見せた。
死に直結するような緊張感の中で、スネイプは息を殺して君主の放つ殺気に耐えていた。
「ニワトコの杖、宿命の杖、死の杖……これらの共通点が何か分かるか、セブルス?」
「いいえ我が君、生憎私には何も……」
「それは勝者に帰依することだ。となるとセブルス、この杖の持ち主だったダンブルドアを殺したのは誰だ?」
「――……っ」
恐怖でもの言えなくなったスネイプに、ナギニは急かすように鎌首をもたげた。
ヴォルデモートはねっとりと舌なめずりをするようにスネイプを見つめると、先ほどと同じ質問をした。
「さあセブルス、この杖の持ち主であったダンブルドアを殺したのは?」
「……わ、わたくしで御座います、我が君……」
その刹那、ヒュッとヴォルデモートが杖を振ると、スネイプの首から大量の血がしたたり落ちた。スネイプは膝から崩れ落ち、大きな音を立てて床に倒れた。
「喰え、ナギニ」