第26章 事変
「オマエ、分身かなんかで、術式使えねぇんだろ!!」
「……正解」
額に刺さったままの釘を抜いて、男はにやりと笑った。
"共鳴り"が効く以上、さっきまでのようにドカドカと攻撃は入んない。
向こうも警戒してるだろうし。
つまり、こっからが本番……。
そう思っていたのに、男は私に背を向けて逃げ出した。
しかもいい笑顔で。
意味分かんねえ。
「待てや!!」
逃げ足の速い虫だ。
全然攻撃があたんねえ。
コイツを無視して地下5階に向かってもよかったけど、野放しにする方が、後々面倒だ。
面倒事は少ない方がいい。
ツギハギ野郎を追いかけて追いかけて、アイツが逃げ込んだ先は地下の構内。
丁度いい。
アイツを祓ってそのまま地下の5階に行けば……‼
階段を降りて、曲がり角を曲がるツギハギを捕らえる。
走って曲がり角を曲がった時。
ツギハギの男の向こう側に知っている人物が私の目に映った。
「虎杖……!!」
「逃げろ!!!釘崎!!!」
油断していた。
分身しているってわかっていたのに。
もう一人が死角になっていて、偽物と本物が入れ替わったことに気が付かなかった。
油断していた。
分身との戦闘で、ツギハギの術式の警戒を解いてしまっていた。
それが、敗因。
バチン、と。
私の顔にツギハギの掌がモロに触れた。
「野薔薇ァ!!!!」
の声が聞こえる。
顔を真っ青にして、ふらふらになって私の所へと駆け寄る。
泣かないで、。
笑っていてよ、。
私は、大丈夫だから。