第9章 IH予選まで
「鈴ちゃん、ちょっといい?」
「き、潔子さん!なんで1年の教室に?」
IH予選に向けて、気合い十分な練習が始まり数日。
お昼休みに潔子さんがあたしを訪ねてきた。
「実は倉庫掃除してたらこんなの見つけて…」
「!こんなのあったんですね!でもちょっとボロい感じが…」
「うん、だから綺麗にしたくて」
「そーいうことですね!任せてください!」
「ありがとう」
潔子さんが見つけたのは汚れて少しほつれてる応援幕。
IHに向けて使えるように
嬉しそうに笑いかけてくる潔子さん。
龍先輩と夕先輩が見たら卒倒するやつだ。
この日から潔子さんと部活後に集まって応援幕の補修作業が始まった。
「鈴。帰るけど」
「あ、蛍!ごめん、潔子さんと用事あるから」
「?そう…」
「潔子さんと鈴が密会だと!?」
「何!?いったいこんな時間から何を・・・!?」
「お前らー、いい加減にしろー」
蛍に一緒に帰れないことを伝えると、近くで何やらソワソワし出す2年先輩ズ。
その2人を大地先輩が止めてくれた。
何かは知らないけど察してくれてるのかな?
「じゃあ行こっか、鈴ちゃん」
「はい、お待たせしました!」
龍先輩と夕先輩に聞かれたらあたしの命が危ないと思う。
なんて考えつつ2人で潔子さんの家へ向かう。
「鈴ちゃんてさ」
「?はい」
「バレーボール好きなんだよね?自分はやろうとか、思わなかった?」
「!あー、先輩には言ってなかったですよね…」
ついこの間夕先輩達にした説明と同じようなことを伝える。
そういえば潔子さんってなんでバレー部のマネージャーになったんだろ。
「!そう、だったんだ。ごめんね、変なこと聞いて」
「いえいえ!周りの友達からもよく聞かれるんで…」
「私はさ、澤村に勧誘されて、なんとなく始めたんだ」
「!そうなんですか。意外です」
「最初はなんとなく始めてみたけど、だんだん好きになって…」
「バレー、面白いですもんね!」
「うん。だから…。みんなには勝ってほしい。」
「そう、ですよね!」
潔子さんの意外なエピソードが軽く飛び出しつつ、応援幕に想いを込めて補修していった。